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極周辺部と市内中央部への拡大

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 昭和四十五年(一九七〇)以降、約三〇年間で札幌の教会数は二倍を超える増加をみた。このことは、市内各地域で教会がより身近に存在するようになり、市民が教会の活動に接し得る機会の拡大を意味した。図2は、平成十五年(二〇〇三)十二月末の一六〇教会などの分布図である。厚別、清田、豊平、手稲、北、東区の新興住宅地、商業地に教会の密度が増している。それも市街地の拡大に照応して、極周辺部に及んでいることが読み取れる。とくに大谷地、平岡、北野、福住、篠路、拓北、あいの里、前田、星置、東苗穂、中沼など、公共交通機関や主要道路に沿って分布している。この傾向は、札幌市域を超えて石狩市、北広島市、江別市に及んでおり、この地域が札幌の宣教圏内に入っていることを示している。周辺部と同時に教会数の増加が著しいのは中央区であって、その三分の一が昭和六十二年(一九八七)以降新設の教会である。中には、単立のアガペチャーチ(別称、マナチャペル)や恵みキリスト教会のように、それぞれ篠路、拓北また厚別、福住という周辺部での開拓伝道から始まり、都心のビルを取得して会堂とした教会もある。札幌の中心部は、新たな宣教の拠点を求めやすい地となっている。

図-2 札幌市内教会・修道院・キリスト教主義学校の分布―2003年12月末現在―

 市史5上で見たとおり、昭和四十五年に確認できた札幌進出の教団数は三四団体(教団に属さない単立の教会を含む)であるが、平成十五年では同じく六四団体に増加している。これまで伝道の機会を持たなかった、例えば首都圏の教団が容易に札幌、ひいては道内に進出出来るようになったといえよう。新たに進出した諸教団にとって、札幌の教会は道内への宣教の足がかりであり、すでに道内各地に教会設立を果たしてきた教団にとっては、さらに札幌伝道が目指された。前者の例では、日本キリスト改革派教会、後者では、OMFと同様に在日スウェーデン福音宣教団の開拓伝道によって設立をみた教会が組織した日本聖書福音教団による、篠路伝道の成果(あいの里チャペル)などがそれである。
 また、昭和六十二年五月以降の設立である四六教会のうち、一七教会は単立の教会である。これらの教会は創立者の特志か、さもなければ教団の支援が薄少な中で設立されている。キリスト教伝道の機会が多様に存在し、多数の教会が短期間に隣接するごとくに設立される状況は大都市の傾向であるが、札幌にもそれが及んでいる。