これは名称が示すように、三浦半島や多摩丘陵、房総半島の上総丘陵に広く分布する第三紀末から更新世の初期にかけて、海底に堆積した一、〇〇〇メートルにも及ぶ厚い地層である。
品川区の地盤のうち、もっとも深いところを占める基盤層で、めったに日の目をみない。
目黒川沿いの工場などで深井戸を掘って得られた地下水は、褐色を帯びることが多い。かつて下大崎にあった松風閣温泉場の深井戸の水も黄褐色を呈したというし、また西大井の馬込温泉も同様である。これらの深井戸はいずれも深さ三〇〇メートルぐらいあって、明らかにその水は三浦層群に含まれたものと考えられる。
このようにこの地層に含まれる水は汲み出されて日の目をみるが、その母胎である地層は、区の西部で比較的浅く、海抜一〇メートル、東にいくと次第に深くなり、五反田付近で海面下一〇メートル、大井海岸で海面下二〇~三〇メートルの深さにある。この三浦層群の上面はもとより堆積面ではなく、上に重なる地層との間の不整合面である。
岩相はかなり固い泥岩や砂岩で、なかに含まれる貝化石から、外洋に面した海底でたまった地層と考られている。