これは絶対年代にすると、およそ数百万年前から約二十万年前までの、長い期間である。この間、前半の長い間、品川区を含む東京の武蔵野地域は、海におおわれており、海底に砂や泥が堆積して三浦層群をつくりつつあった。比較的昇降の少なかった海面は、その後急に、まるで潮の干満のように、数万年ぐらいの周期で昇降を繰り返すようになった。おそらく第四紀の氷河時代に入ったためであろう。すなわち、氷河が発達する氷期には海水が吸いとられて海面低下がおこり、広く陸化する。また氷河のとける間氷期には海水量がふえて、海面が上昇し、陸地を浸す、といった変化がおこったようである。この時期の海の堆積物は一括して、下部東京層とよばれている。