台地上では、地下水面が地表より三メートル以浅にある浅い井戸では、水深は多くの場合一~二メートル以下である。区内数箇所でのボーリングの結果からみて、これらの井戸はいずれも関東ローム層のなかに掘られたものであり、井戸の底は砂礫層にまで達していない。これらの井戸の地下水は、荏原台、高輪台では東京層、目黒台では武蔵野砂礫層の上位の下末吉ローム下部層のなかの、火山灰質粘土層・粘土質ローム層などの難透水性の地層の上部の関東ローム層のなかにたまったものである。主地下水は、東京層のなかの砂層および武蔵野砂礫層のなかにあり、台地上で水面の深さが七メートルをこすものの多くは、これらの砂層または砂礫層まで達しているものと考えられる。
関東ローム層のなかに帯水する浅い地下水は、渇水期には主地下水と分離して宙水(ちゅうみず)となる。そのような場合に多量の揚水をおこなうと、ところによっては枯渇することもある。したがって、より安定した地下水を得るためには、井戸の深さを前記の砂層または砂礫層まで達せしめる必要がある。
沖積地における浅井戸の地下水は、海岸部では地表下およそ三メートル付近までに存在する河成の砂礫層を帯水層とするものが多いが、最近では水位の低下のために枯渇する井戸が続出するために、さらに深く、地表より八メートル以深の砂層(東京層)より採水する井戸が増加している。