上蛇窪村は東に大井・下蛇窪村、西に中延村、南は馬込・大井両村、北は下蛇窪・中延村に接し、東西・南北ともに一二～三町ほどの小村である。谷戸・フカンボウ・塚田・前田・谷中・関根・中通・宮前・大原という九っの小名よりなっている。

　蛇窪という地名のおこりは、このあたりが低湿地であって、蛇が多く住んでいたところからきた、という説を『新編武蔵風土記稿』も「南浦地名考」ものせている。

第138図　西品川三丁目の道標（右にオオヰ道，左にヘビクボ道とある）

　家数は文政十一年（一八二八）成立の『新編武蔵風土記稿』も、また安政二年（一八五五）の書上げもともに三六軒としている。村高は一八五石五斗二升三合、この反別二六町四反九畝廿五歩。田は高五一石九斗二升六合、この反別六町一反二畝二四歩。畑は高一三三石五斗九升七合、この反別二〇町三反七畝壱歩である。

　畑地の多い土性のよくない村である。