品川宿の財政を示す古いものは残っていないので、寛政六年(一七九四)のものからいくつかの例を示すことにする。
収入(二分は永五〇〇文、二朱は永一二五文のごとくにして表示する。)
両 文
三一二・五〇〇 伝馬役屋敷役金
(七九・四%)
伝馬役屋敷一四〇軒半(内七三軒南品川宿六七軒北品川宿)のうち馬役七〇軒(南北両宿三五疋ずつ)を引き、残りから、南北両宿の名手・問屋・年寄・往還払方の四人分を役引とし、残り六二軒半。一軒に馬一疋のつもりとして役金一年に五両ずつ。
八一・二五〇 歩行役屋敷役金
(二〇・六%)
歩行新宿にある歩行役の屋敷九八軒のうち人足役七〇軒を引き、残りから歩行新宿名主二人・往還払方一人の計三人分を役引とし、残り二五軒。一軒に人足一人のつもりとして役金一年に三両二五〇文ずつ。
両 文
計三九三・七五〇
支出
両
八〇・ 南北問屋場諸入用
(二六・五%)
一五・ 北品川宿問屋場地代
(五%)
四二・ 三宿の帳付給分 一人に七両ずつ、六人分。
(一三・九%)
三六・ 南北宿の馬指給分 一人に六両ずつ、六人分。
(一一・九%)
一〇・ 歩行新宿の人足宛番給分 一人に五両ずつ、二人分。
(三・三%)
二五・ 南北御状箱継所年中諸入用
(八・二%)
一四・ 南北御状箱賄人給分 一人に七両ずつ、二人分。
(四・六%)
三〇・二五〇 御状箱持人足給分 南品川宿にて八人半、北品川宿にて二人半、計一一人を勤めるところ歩行役屋敷がないので、伝馬役金のうちから出す。一人につき一年に二両七五〇文ずつ。
(一〇%)
二五・ 朱印・証文人馬手当銭
(八・三%)
一〇・ 不足馬買上銭 (南北両宿の役金より出す)
(三・三%)
一五・ 不足人足買上銭(歩行新宿の役金より出す)
(五%)
兩 文
計三〇二・二五〇
(『品川町史』中巻一六〇ページ)
残りが九一両永五〇〇文になる。これは地方(村方)の諸入用にも使い、臨時の入用にも支出する。過不足は年々相談して取り計らう。最も多いのは問屋場の諸入用とそこに働く人の給与で、六〇%を超える。