漁業

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一方漁業では旧来の漁業は、明治維新後、従来の特権的な漁場確保が消滅した形で、勝手に漁業をしてよいということになり、旧幕時代の統制が乱れた。明治八年十二月のことである。

 これ以後、再三これを旧に復する運動がつづけられ、十四年三月ようやく実を結び、六月、内湾組合漁業契約が締結されて、常に問題を起こしていた佃島もこれに加入、これがやがて、明治十七年十一月の東京内湾漁業組合の結成へと進展していった。それは湾内漁業九九ヵ町村を含む大組合であった。その後、種々規約は改正されていったが、その間、魚の種類によっては組合相談で漁船の制限などもあり、いろいろの紛争もあったとはいえ、何とか旧態をまもって漁業をつづけていったといえる。