むすび

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品川宿とその周辺村々の維新後から十年代の変化と、それに対処しようと努める村々の人々の姿は、およそ以上にのべた通りである。西南戦争という大きな事件を中心に、政府の方針、指導ぶりが大きく変化する。西南戦争後、政府の基礎のかたまるとともに地方行政についても東京府を通じて、いろいろな面で政府方針の強化がみられ、品川においても、そうした法令等によるしめつけで、新政府のもとで官僚支配機構の確立に動きがとれないままの生活が、文明開化という名にカモフラージュされて、次第に政府の方針のなかに組みこまれてゆき、ナショナリズム意識の高揚とともに、後期の日清戦争へと結集されてゆき、そこに「戦勝」という形での、新政府の権力と日本資本主義の確立という大きな翼の中での「帝都」東京の発展があり、品川を大工業地帯にする一歩一歩がきずきはじめられてゆくのであった。