大正期における品川信用組合

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品川信用組合にかぎらず、設立の中心は、各地の名望家層であり、事務所も町村役場に同居し、組合長も(区)町村長をかねた場合が多い。品川信用組合は、区域内では大崎信用組合についで古く、大正期における組合員の構成をみると、商業者が最も多く、農業を営む組合員は大正末期までに消滅するけれども、水産業(漁業)を営む組合員の存在が、おそらく大井町信用組合と共通していると思われる。この点、宿場町の系譜をもち、東海道を中心として交通・流通組織の焦点に位置した特徴の反映と考えられよう。創業期の業務状況も別表の通りであるが、まず、大正十一年度は損失金を出していること、借入金が極めて少ないこと、剰余金の対出資金比率も、大正十二年度では一%にも達せず、大正末期までは一〇%をこえていない。預貸率ともいうべき貸出金の対貯金総額比率も一〇〇を下回り、安全性を保つとはいえ、逆に貸付対象が少なかったと考えられよう。

 第101表 大正後期における品川信用組合の構成
項目 組合員数 出資口数
年度 農業 工業 商業 水産業 その他 農業 工業 商業 水産業 その他
大正11年度 4 60 279 2 288 633 45 343 1,969 15 1,957 4,329
12   4 64 316 2 310 696 45 361 2,374 15 2,205 5,000
13   4 96 345 3 342 790 60 748 2,913 35 2,732 6,488
14   3 104 352 3 342 804 40 820 2,933 35 2,902 6,730
15   0 108 361 3 319 791 0 847 3,082 3 2,786 6,750

注) 各年度「事業報告書」より作成。

 第102表 大正後期における品川信用組合の業況(△印欠損)
項目 出資金 貯金総額 剰余金 貸出金 借入金 C/A D/B E/B+E
年度 (A) (B) (C) (D) (E)
大正11年度 216,450 99,712 △2,484 41,700 0 41.8
12   230,000 315,011 2,000 231,880 761 0.8 73.6 0.2
13   324,400 581,581 18,046 441,965 0 5.5 75.9
14   336,500 780,152 24,275 587,531 0 7.2 75.3
15   337,500 987,621 30,407 769,981 0 9.0 77.9

注) 各年度「事業報告書」より作成。