荏原支部は翌大正四年七月に第一部東京電気・日本毛織その他、第二部三共製薬・後藤毛織、第三部明治護謨、品川付近、第四部鉄道院工場その他の分会を設けるまで拡大し発展を遂げた。またその折、支部会員の家には表札をかかげることを決めている（実際にかかげたのか否か、どんな表札だったのだろうか）。創立当初の各支部の新入会員の動向をみると、三支部とも最初の一、二年は平均した増加ぶりを示しているが、大正四年になると荏原支部の発展が著しく、第110表でみる限り品川支部がやや停滞し、大崎支部は大正八年ころ再び拡大するなど、支部によってかなりの違った動きを示すようになった。全体として、荏原支部が最も順調に会員を拡大していったといえる。この荏原支部の着実な活動ぶりは、友愛会機関誌『友愛新報』、『産業及労働』、『労働』に、ほとんど毎号のように紹介された（大正七～十年）。荏原支部の活動ぶりを年譜で追ってみよう。

　　　　　　荏原支部の活動

　大正九年（一九二〇）友愛会から大日本労働総同盟友愛会へと名称を変更したのにともない、関東出張所が廃止され東京連合会が設置されたほか、支部を労働組合に改めるなどしだいに労働組合らしい体制が整えられた。荏原支部も荏原労働組合という名称を採用するようになったが、その後も荏原支部をかなりの間併行して使っている。