(3) 公立中学校・女学校の設立

426 ~ 427

 明治期の品川には中等学校といえば、明治三十七年創立された日本体操学校付属の私立の荏原中学校が大井に一校あるだけで、公立の中学校も女学校も存在しなかった。それは、当時この地は大部分が農村で小学校へも通わない児童が多かったのであるから当然といってもよいかも知れなかった。しかし、大正期に入って、徐々に住宅地化が進み、また文化の向上によって住民の教育に対する熱意が高まるにつれて、中等学校の設立は当然必要となって来つつあった。そのような情勢のなかで、この時期にはまず大正八年郡立の荏原実科女学校(後の府立第八高女、現在の八潮高校)が設立され、次いで大正十二年には府立第八中学校(現在の小山台高校)が設けられることとなり、上級学校へ進学を志ざす者が増加するようになるのである。


第73図 大正15年頃の体操授業