この三つの新興宗教は、いずれも大正から昭和前期にかけて創設され、そして戦後の民衆が精神的に虚脱状態にあり、しかも物質的に極度に困窮していたときに、現実的な利益を掲げて多数の信者の入信を受けて急激に成長しているのが特色である。そしていずれも法華信仰系であることも共通している点である。これはその基盤となっている法華各宗の教義が、現世利益的であることに起因するものと考えられる。
品川区のような都市部で多くの信者を獲得したのは、各教団が定期的に信者の会合をもち、信者同士が悩みを打明け合い、その解決方法について語り合うということを積極的に行なわせたことによって、信者同士に連帯意識をもたせたことで、地域的結合の極めて弱い都市に住む人たちに、別な形での連帯感という大きな魅力を与えたからであろう。
創価学会には座談会と呼ばれる集会があり、座談会は学会活動の基本的実践とされ、一〇人、数十人の人たちが集会所あるいは幹部や会員宅に集まり、教義の学習、体験談の発表、悩みを打合け合ってその解決方法を語り合うということが行なわれた。
立正佼成会には法座(ほうざ)と呼ばれる会合があり、法座は定例的に行なわれ、各教会の修養道場や、幹部・会員の家を使って数人から十数人の会員がリーダーを中心として、会員の抱える問題を、解決策が見出されるまで話し合うという形をとっている。
大乗教でも信者の家庭で法座と呼ぶ集会を行なっている。そして別に各教会で月例法座が行なわれている。法座では、まず題目を唱え法華経方便品・神力品・寿量品・普門品が唱和され、これが終わってから座談会が行なわれる。
このように新しい民衆宗教は、いずれも信者の会合によってその連帯感の緊密化をはかり、教団の強化と充実をはかったのである。