高度経済成長下における品川区の発展のひとつの姿は、人口の増大という点に求めることができる。戦後における区人口は、転入・復員・引揚げ等によって漸次増加し、昭和三十年には、敗戦の翌年である昭和二十一年の人口(一八万一五八三人)の二・六倍に達している。その後の人口の推移については、別表(第215表)のとおりである。
年次 | 世帯数 | 人口 | 人口の対前年増加 | |||
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総数 | 男 | 女 | 実数 | 率 | ||
昭和30年 | 96,419 | 374,184 | 191,614 | 182,570 | 11,774 | 3.2 |
31 | 97,799 | 374,498 | 192,016 | 182,482 | 314 | 0.1 |
32 | 100,959 | 381,209 | 196,237 | 184,972 | 6,711 | 1.7 |
33 | 102,388 | 384,445 | 198,867 | 185,578 | 3,236 | 0.8 |
34 | 108,112 | 393,546 | 203,588 | 189,958 | 9,101 | 2.3 |
35 | 113,258 | 402,583 | 209,161 | 193,422 | 9,037 | 2.3 |
36 | 120,455 | 409,003 | 212,889 | 196,114 | 6,420 | 1.5 |
37 | 130,559 | 414,520 | 216,133 | 198,387 | 5,517 | 1.3 |
38 | 135,824 | 412,012 | 214,025 | 197,987 | △2,508 | △0.6 |
39 | 144,535 | 415,728 | 215,662 | 200,066 | 3,716 | 0.9 |
(△は減)
この表によって明らかなように、三十年代の人口は、三十八年以外は毎年増加の道をたどっている。ただし、対前年増加率は、三十四年および三十五年の二・三%を頂点とし、漸次低下している。この点に立ち入って考察を進めるために、区人口における社会増減数の推移をみると、次表(第216表)のようになる。
年次 | 社会増減数 | ||
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増減(△) | 転入 | 転出 | |
昭和33年 | 5,808 | 55,230 | 49,422 |
34 | 4,376 | 55,004 | 50,628 |
35 | 2,661 | 54,618 | 51,957 |
36 | 1,154 | 53,327 | 52,173 |
37 | △2,545 | 53,264 | 55,809 |
38 | △4,699 | 51,810 | 56,509 |
39 | △10,222 | 49,350 | 59,572 |
三十年代における区人口の増加が、生産人口を中心とする転入者数が転出者数をうわまわることに基づくのは、三十六年までであり、それ以後は、社会増が社会減にかわっている。この事実は、品川区人口の増加は、三十年代当初からしばらくは、高度経済成長によってもたらされたものであるが、三十七年以降にはいるや、経済の高度成長が却って人口の社会的減少の原因となりはじめたことを物語っているのである。