このような最近の産業構成が、昭和三十年以降の経済の高度成長下において、どのように変化してきたかを知るために、昭和三十二年以降三年ごとに行なわれてきた事業所統計によって見てみよう。事業所の総数では昭和三十二年の一万七九四一から、昭和三十五年には一万八六五五とほぼ横ばいの状態といってよいが、それ以降は三十八年二万二四五一、四十一年二万五一九八、そして四十四年には二万五〇一五となる。三十五年から四十一年までの急増、四十一年から四十四年の停滞が目だっているが、最新の四十七年の資料では二万八〇五二と再び急増を示している(ただし四十四年の統計は、アパート経営の事業所の統計基準が変更されたため、不動産業の数が急減したことが停滞の主因となっているので、じっさいは停滞をそれほど強調することはできない。)。
年次 | 昭和32年 | 35 | 38 | 41 | 44 | 47 |
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事業所数 | 17,941 | 18,713 | 22,451 | 25,198 | 25,015 | 28,052 |
従業員数 | 156,438 | 207,138 | 225,086 | 234,553 | 236,717 | 245,064 |
こうしてみると、昭和三十二年から四十七年の一五年間に事業所の数は五六・三%という増加率を示しているわけである。
次に従業者数の変化から見てみよう。従業者数も各年度にわたって着実に増加しており、四十七年の三十二年に対する増加率は、事業所の場合とほとんど同じ五五・六%という比率を示している。
これは、一事業所あたりの従業員数の八・七人という数字が、一五年間において変わっていないことを示しており、この間にますます零細な企業の増加がいちじるしく、その産業構成は体質的にはほとんど変化をしていないと見ることができる。
次にこの変化を産業分類別に考察してみよう(第177図)。事業所数からこれを見ると卸小売業は三十五年にやや減ののち、三十八年以降は着実な上昇を示し、とくに四十一年から四十七年にかけての伸びはいちじるしく約一六%の増加である。製造業では三十五年から八年にかけての増加がめだち、二一%増を示すが、それ以降は三年ごとに八~一〇%程度の増加率で、伸び率は鈍化しており、またサービス業も同様の傾向をもっている。また、不動産業の四一年~四四年の減退は前述したごとく統計処理の相違からおこったものであり、全体として見ればいちじるしい成長を三十五年以降遂げているといってよいであろう。
従業者数の変化は、事業所に較べるとかなり業種による変化がいちじるしい点が注目される。たとえば、製造業が三十二年から五年にかけての急増、三十八年をピークとして以降漸減を続けているのに対し、卸小売・建設業では三十二年から年を追って増加傾向を持続していることである。この製造業の従業者減は、過密化現象によって区内の中堅工場が、工場移転を行ないつつある現象が、大きな要因としてあげられるし、また求人難から若年労働力の補給が減少しつつあることにもその原因があると考えられる。それに対して、卸小売業の増加は、この地域が商業を中心とした機能を強化してきていることを示しているとみることができる。