旧荏原区の西南部をしめる地域で、目蒲線の武蔵小山・西小山、田園都市線の旗の台・荏原町駅周辺の三つの商業地がある。この地区は品川区内のなかではもっとも住宅の比率が高く、また人口密度も高い。卸小売業の就業者別産業比率は二七・一%で、全区の二三・四%に較べて三・七%高く、区のなかでも商業活動の盛んな地域であるといえる。商店の業種では、飲食店三四・二%、飲食料品二八・八%で、区の平均以下であるのに対して、衣料・身の回り品は一五・九%で、区の平均の一二・四%に較べて高く、それがまた武蔵小山の商店街に集中しているのが特色である。
武蔵小山の商店街は、駅を中心にして四方にのびた街路に集中した商店街で、その合計は五六〇店から成っており、なかでも駅から南東に、中原街道に向かってのびるおよそ二〇〇店からなる小山本通りがアーケードも完備しており、その核となっている。
小山本通りの商店のうち、衣服・服飾・家具・日用品などの買回り品の業種が七四%をしめて、他の商店街に較べて充実しており、とくに衣服関係が強い。その商圏も強くて、品川区主要部の商圏を、大井町商店街と二分している関係にある。また目黒区・大田区など他区からの買物客も多くて、その比率も三~四割におよんでおり、区内の商店街としては異色の存在である。
旗の台・荏原町の商店街は、最寄り品の業種が多く、地元住民を対象にした近隣消費のための商店街であるが、すぐ南が大田区に接しているため、三〇%は区外の利用者によって占められている。