居木橋貝塚

7 ~ 12

 大崎二丁目六番地を中心として七番地に及び、さらに三丁目十四番地、西品川三丁目五~六番地の範囲に存在している貝塚を伴う遺跡である。貝塚を構成する貝類としてはハイガイ・サルボウ・シオフキ・ハマグリ・アサリ等の一〇種類が検出されている。動物類としてはシカ、魚類としてはタイの出土が知られている。土・石器の類には、土器と打製石斧・磨製石斧・骨製品が検出された。


第2図 居木橋貝塚における貝塚の分布

 また、以前に石皿の破片が出土したことが報告されているが、この石皿は付近に存在する後期の遺跡よりの出土品である可能性がある。竪穴住居跡も検出され、形状は半円半方形を呈するもので、東西五メートル、南北五・五メートルを有する。ローム層を約三〇センチ掘りくぼめて床面を作り、その中央北寄りに素掘り炉が認められた。竪穴の床面上よりは、土器の破片が若干出土したにすぎないが、その埋没土壌と竪穴を覆っている貝層中より多くの土器片が見出された。小規模な貝塚を伴う集落跡であり、貝塚の分布状態より、おそらく円形に配されていた住居より構成されるものであったようである。食料は貝類を主体とし、貝塚におけるシカ・タイの存在が示すように、狩猟と漁撈がおこなわれていたことが察せられる。


第3図 居木橋A貝塚発掘区断面図


第4図 居木橋A貝塚出土の石斧(立正大学考古学研究室蔵)


第5図 居木橋A貝塚出土の土器(立正大学考古学研究室蔵)


第6図 居木橋B貝塚発見竪穴住居跡実測図


第7図 居木橋B貝塚発見竪穴住居跡実測図


第8図 居木橋B貝塚出土の土器(立正大学考古学研究室蔵)


第9図 居木橋B貝塚出土のクジラ骨製棒状骨器実測図
(立正大学考古学研究室蔵)