その他の諸神諸仏の信仰

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 観音・地蔵の信仰のほか、品川宿の各寺院にはいろいろな神仏が祀られていて、庶民の信仰を集めていた。例えば南品川妙国寺の山門の仁王尊の祭礼が九月二十七・二十八両日に行われ、参詣者に茶飯が振舞われたり、南品川に海雲寺の千躰荒神の大祭は三月二十七・二十八日それに十一月二十七・二十八日に行われ、台所の神として御札や御宮を受けに大勢の参詣集人が各所から集まった。

 日蓮宗寺院にも庶民の信仰の対象となる諸神が数多く祀られていた。

 南品川海徳寺では大黒天、鬼子母神、清正公そして子授け・下の病の治癒などの利益を与える淡島尊天が有名であり、そのほか南品川本栄寺の開運大黒天、南品川蓮長寺の開運毘沙門天も多くの信者を有していた。

 毎月一定の日を縁日として露店が出店するケースも多く、毎月十三日の北品川養願寺の虚空蔵尊、十七日の北品川法禅寺の観音、二十八日の北品川(一心寺)不動の縁日には店が出て多くの参詣人で賑わった。


第65図 養願寺の虚空蔵堂