当時、温泉宿は三十戸余り。このうち宿名が紹介されているのは、院内にある十六軒と大湯の地にある七軒です。宿泊料の規定や貸席及貸器具定価表の項目が挙げられていますが、いずれも数字は入っていません。
日用品や酒、新鮮な食品はほとんどこの地でそろい、「鮮魚は上田より来る直江津にて漁したるもの翌日午前には此地の食膳に上がるべし」と記されています。さらに、薪炭や油、新聞雑誌の販売について紹介しています。長逗留し自炊する湯治客の便利を意識して書いたものでしょう。
「料理屋、飲食店は各所に十数戸散在せり」とあり、何軒かの店を挙げています。公認された芸妓さん、医師がいること、写真館、遊技場があることなどが書かれています。