28
第1章 総則
第 1 条 本校は農業学校規程甲種(注48)程度に基づき、森林に関する学理実習及普通農業の大意を授くるを以(もっ)て目的とす
第 2 条 本校教科を分ちて本科、予科とす
第 3 条 修業年限は本科3ヶ年、予科1ヶ年とす
第 4 条 生徒の定員は本科150名、予科30名とす
第2章 学年及学期・授業日数及休業日
第 5 条 学年は本科予科共に4月1日に始まり翌年3月31日に終わる
第 6 条 学年分ちて左の2期とす
前期(自4月1日至9月30日)
後期(自10月1日至3月31日)
第 7 条 授業日数は毎学年37週以上とす
第 8 条 休業日を定むること左の如し
但し臨時不得止(やむをえず)事故あるときは、1学年2週日以内に於て監督官庁の許可を得て臨時休業をなすことあるべし
一、大祭日及祝日
一、日曜日 但し実習期に於ける日曜日は休業せざる
(改頁)
ことあるべし
一、開校紀念日
一、学年試験後1週間
一、夏期休業 自7月21日
至8月31日
一、冬期休業 自12月25日
至1月7日
第3章 学科課程及毎週教授時数
第 9 条 学科目及程度並に毎週教授時数は、本科は別表甲号、予科は別表乙号の如し
第4章 入学及退学
第 10 条 生徒入学の期は学年の始めとし募集人員及必要の事項は其都度公示す
但し時宜により臨時に入学を許すことあるべし
第 11 条 本科第1学年の入学志願者は左の資格を具(そな)ふるものたるべし
一、年齢満14年以上の男子にして其学力修業年限4ヶ年の高等小学校卒業、又は之れと同等以上の学力を有するもの
一、身体強健にして規定の課程を修むるに耐ゆるもの
一、資性品行善良なるもの
一、在学中所要の学資を弁じ得るもの
第 12 条 予科入学志願者には左の資格を具ふるものたるべし
一、年齢13年以上の男子にして其学力修業年限3ヶ年の高等小学校を卒業し、又は之れと同等以上の者にして本科入学志望の堅実なる者
一、他は本科入学志望者と同等の資格を具ふるものたるべし
第 13 条 本科及予科入学志願者にして第11条、第12条に定むる学力に該当する卒業、若(もし)くは修了証書を有し、且各項の資格を具ふるものは無試験検定を以(もっ)
(改頁) 29
て各其科へ入学を許す
但し入学志願者、募集人員に超過するときは本校予科卒業生にして入学するものを除く外学力の試験検定を行ふ
本科及予科入学志願者の学力試験検定は、本科入学志願者には修業年限4ヶ年の高等小学校卒業の程度に於て、予科入学志願者には修業年限3ヶ年の高等小学校修了の程度に於て之を行ふ
但し其証書によりて学力を検定し入学を許すことあるべし
第 14 条 入学志願者は左の書式に依(よ)り入学願書・履歴書及身体検査書を差出すべし
入 学 願 書 (用紙美濃紙)
某 儀
御校へ入学志願に付き御許可被成下度(なしくだされたく)履歴書・身体検査書相添へ此段願上候也(そうろうなり)
何府県何郡市町村何番地居住
(寄留なれば寄留地をも記入すべし)
何府県華士族平民誰子弟等
年月日 入学志願者 何某 (印)
同上
同上
右父母後見人 何某 (印)
長野県西筑摩郡立甲種木曾山林学校
御 中
履 歴 書
一、本籍 何府県何郡市町村番地
族籍誰何男又は戸主
一、寄留地 何府県何郡市町村番地
何 誰 (印)
学 業
一、何年何月より何学校に於て何科何学年の教科を修業若くは卒業等
(改頁)
(証書の写を添ふべし)
一、何年何月より何年何月まで何所何某に付何学修業
一、 何年何月何処に於て何事に付賞若くは罰を受けし等
右之通り相違無之(これなく)候也
年月日
身 体 検 査 書
一、本籍
一、寄留地
何 誰
生年月日
一、体格
一、身長
一、胸囲 常時
充盈(じゅうえい:いっぱいに満ちること)
空虚
一、体重
一、視力
一、痘 天然痘若くは種痘
何病院長或は開業医
年月日 何 某 (印)
第 15 条 入学許可を得たるものは保証人2名(内1名は学校所在地に居住のもの)を定め左式の誓約書差出すべし
(二銭収入印紙貼付) 誓 約 書 (用紙美濃紙)
某(本人の名)儀入学御許可相成候に付きては御校則堅く相守り命令教訓に遵ひ勤学可仕(いたすべく)候仍て誓約如件(くだんのごとし:注49)
何府県何郡市町村何番地居住
族籍誰子弟又は戸主等
本 人 氏名 (印)
生年月日
前文何誰在学中に係る一切の事件は拙者共に於て引受可申(もうすべく)候也
何府県何郡市町村何番地居住
族籍戸主
保証人 氏名(印)
(改頁) 30
生年月日
同
同
保証人 氏名 (印)
生年月日
長野県西筑摩郡立甲種木曾山林学校長氏名殿
第 16 条 保証人は丁年(ていねん:一人前の年齢、満20歳)以上の男子にして相当の家計を立て在学に関する一切の事件を引き受得べきものたるべし
第 17 条 保証人は第16条に該当する資格を有するも、若(もし)不適当と認むるときは之を換へしむること有べし
第 18 条 保証人改姓名、改印若くは居所を転ずる等の事ありたるときは、其旨速に本校に届出すべし
第 19 条 保証人死亡若くは保証人を換へたるときは本人より新旧保証人連署の届書を差出すべし
第 20 条 左の各項の一に当るものは除名若くは退校を命ずることあるべし
1、2ケ月以上無届欠席の者
2、病気其他の事故により成業の目的なき者
第 21 条 生徒病気又は止(やむ)を得ざる事故ありて半途退学せんとする者は、其理由を具し父兄若くは後見人及保証人連署を以て学校長に願出すべし
但し病気に罹りたる者は医師の診断書を添ふべし
第5章 試験及証書
第 22 条 学業の成蹟は日課及試験に依る
第 23 条 試験を分ちて左の二種とす
一、臨時試験
学業の進否を試むる為め学期間に之を行ふものとす
一、学年試験
毎学年の終りに於て之を行ひ修業若くは卒業を認定するものとす
第 24 条 日課及試験の評点は各学科並に実科100を以て定点とす
(改頁)
第 25 条 卒業及進級の評点は其学年に於ける各学科目臨時試験の平均評点と、卒業及進級試験の評点の和を二除(にじょ:2で割る)したる得点と日課評点とに依り之を定む
第 26 条 卒業及進級試験共実習科は評点60点以上、其他の数科は平均点50点以上、総平均点60点以上を得たるものを及第(きゅうだい:試験に合格すること)とす
第 27 条 予科を卒業したる者及本科第1、2学年の科程を修了したるもの、並に本科第3学年を卒業したるものには左式の証書を附与す
卒 業 証 書 (予科卒業生に与ふるもの)
族 籍
氏 名
(校印) 生年月日
右は本校予科の課程を履修(りしゅう:注50)し其業を了(お)へたり仍(よっ)て之を証す
年月日 長野県西筑摩郡立甲種木曾山林学校長姓名(印)
番号
修 業 証 書 (本科1、2学年修了者に与ふるもの)
族 籍
氏 名
生年月日
右は本科第何学年の課程を修了したることを証す
年月日(校印)
長野県西筑摩郡立甲種木曾山林学校
番号
卒 業 証 書 (本科卒業生に与ふるもの)
(校印) 族 籍
氏 名
生年月日
右は本校制定の科年を履修し其業を
(改頁) 31
了へたり依て茲に之を証す
年月日 長野県西筑摩郡立甲種木曾山林學校
番号
第6章 生徒賞罰
第 28 条 品行方正、学力優等なる者には賞状及賞品を付与す
第 29 条 本校規定の校規又は命令違背し、其他学生たるの本分を誤る言行あるときは其軽重により罰科に処す
第 30 条 罰科は左の3種とす
1、譴責 2、停学 3、放校
譴責(けんせき)は訓諭を加へ将来を戒しめ、停学は在学を停止し父兄又は保証人の許(もと)に於て謹慎せしめ、放校は退校を命ずるものとす
第7章 生徒心得
第 31 条 本校生徒の格守実践すべき要項左の如し
一、教育に関する勅語を遵奉し常に拳々服膺(けんけんふくよう:注51)すべし
一、師長を尊し其教誨訓諭(きょうかいくんゆ:注52)に服従すべし
一、学業を精励し常に質素にして摂生を怠るべからず
一、信義を守り、廉恥(れんち:注53)を重じ、礼節を慎み、正直を旨とし温良の態度を備ふべし
第 32 条 生徒心得に関する細則は学校長別に之を定む
第8章 寄宿舎
第 33 条 本校生徒にして住所より通学し能(あた)はざるものは寄宿舎に入らしむるものとす
但し都合により舎外に寄宿せんとする者は(父兄若くは後見人)及保証人並びに家主連署、其旨願ひ出て校長の許可を受くべし
第 34 条 寄宿生にして食料を納めず、又は舎風を紊乱(びんらん:みだすこと)するの行為ありと認むる時は
(改頁)
一時若くは無期退舎を命ずる事あるべし
第 35 条 本郡各町村より入学する本科生にして通学し能はず、本校寄宿に入舎するものには学資の幾分を補給する事あるべし
学資補給に関する規程は郡長之を定む
第 36 条 寄宿舎に関する細則は学校長別に之を定む
第9章 職員職務
第 37 条 学校長は校務を掌理し所属職員を統督す
第 38 条 教諭及助教諭は生徒の教育を掌(つかさど)る
第 39 条 舎監は学校長の指揮を承け寄宿舎に関する事を掌る
第 40 条 書記は学校長の指揮を承け庶務会計に従事す
第 41 条 職員は校長を除く外宿直をなすべし
第10章 付 則
第 42 条 本則に定むる外必要なる事項は学校長之を定む
――――――――