1)刊本『贈答百人一首』を紹介する。
2)底本として上田市立上田図書館花月文庫蔵『贈答百人一首』(目録:百人一首・17の2)を用いた。同本は嘉永六年(1853、序文の年紀による)刊の中本一冊(タテ18.1cm×ヨコ12.2cm)。
3)本書所載の序文、和歌本文、頭注、奥付を翻刻した。ただし、三丁ウラ~十丁ウラにかけて掲載の同刻の項目は割愛に従った。項目は以下の通り。
・拾芥抄袋草紙の誦歌
・建保職人尽月の歌
・「天神七代をおぼゆる歌」以下、六首
・秋の三曙の歌
・十二支月の歌(仮称)
・やまと詞物の名
・「雪月花」三首
4)翻刻は、以下の方針によった。
・原文の表記に忠実であることを旨として、仮名遣いはそのままとして訂していない。
・助詞等のハとニは、「は」、「に」と仮名表記に改めた。
・漢字表記は原則として底本の用字によった。一部、「國」→「国」など、通行字体に改めた箇所がある。
・読み仮名(ルビ)については、( )で記した。煩雑を避けるため、適宜、割愛した。
・ヲドリ字について、ゝ、ゞは本文のままとした。/\・/″\(くの字点)は仮名の場合は「さま/″\」→「さまざま」などとし、漢字「人/″\」などは「人々」とした。
・底本には句読点が付されていない。適宜、私に読点を付した。
・引用されている和歌は「 」で括った。
5)作者名については底本の表記のままとし、( )内に底本の表記に基づいた読みを示した。
6)作者名に01から100までの通し番号を付した。
7)頭注を底本のままの表記で示した。読み仮名(ルビ)については、上に同じ。頭注については、文意を考慮して、適宜、読点を付した。
8)一番の左衛門佐基俊歌、百番の賀茂季鷹を除く98首については、十一丁ウラの2番西行法師と十二丁オモテの3番俊成卿が贈答の対となっている。
頭注については見開き一面で、二人の歌人の略伝や贈答歌の解説がなされているので、通して記した。
9)判読に困難な文字は*で示した。