三 勝興寺歴代住職及び夫人肖像画

 法宝物に準ずるものとして、勝興寺の歴代住職およびその夫人の肖像画がある。
 若干の欠をのぞいて歴代がそろっていることは極めて貴重である。これらには、すべてにではないが、忌日とその二ヶ月ほど後の年月日、当時の門主の署名、花押、勝興寺側の願主の記された裏書が存している。
 歴代住職のうち、佐渡国初代・信念、土山坊開基蓮如、六代薤乗以降、二十六代准性までの肖像画が存している(十二代准栄、十八代法暢、二十一代本歓のみ欠)。
 歴代住職夫人は、七代蓮誓室・如専以降、二十四代室までの肖像画が存在している(十二代准栄、十六代寂了、十八代法暢、二十一代本歓の代には室なきにより欠。十一代顕称室・妙従、十三代准教室・良明、一一十三代澤映室・明寿(法号はあり)、一干四代尊弘室・鏡竜(法号はあり)、二十五代瑞映室・紀子、二十六代准性室・遥子は欠)。
 特に住職夫人肖像画は、浄土真宗における女性の役割を考える上で貴重な資料となろう。例えば、実玄の室・妙勝(三-七)は、夫・実玄没後三十年にわたり、次代住職、次々代住職を後見して、勝興寺の威勢を増し、江戸時代に加賀藩主・前田家々庸司家と姻戚関係をもつ大寺院として推移する礎を築いた女性である。こうした女性の肖像画が残っていることは、勝興寺における大きな価値である。
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