三 屏風

 勝興寺に残る屏風の筆頭は、「洛中洛外図」(六曲一双、江戸時代前期 三―一)であろう。本屏風は、百双以上知られる洛中洛外図屏風の中でも、町田家本(国立歴史民俗博物館蔵)、上杉家本(米沢市博物館蔵)などに次いで、制作年代が六番目に古く、特に二条城が描かれた一双屏風としては、最も古い。この点が、平成六年(一九九四)、重要文化財の指定理由となった。筆者は知られていないが、狩野孝信(一五七一~一六一八)あるいはその周辺絵師の作とみられている。
 来歴は知られておらず、鷹司政熙准后(一七六一~一八四〇)息女・広悟(~一八六七)が勝興寺二十代本成に嫁した際の持参品と伝えられていた。しかるに、近年、内村周氏によって、本願寺十二代准如(一五七七~一六三一)息女・小淙々(一六一五~)が、勝興寺十三代・准教(昭見)に嫁いだ際の持参品とする、より時代的整合性のある説が出された(参考文献12)。
 屏風の作品としては、はかに慶長元和頃にさかのぼるかと思われる、華麗な「花籠図」(二曲一隻 県指定文化財三-三)や、より古風な「日月図」(六曲一双 県指定文化財三―二)、江戸時代前期と思われる「大職冠図」(六曲一双三-五)がある。
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