この発電所では、石炭を乾留して発生したガス(モンドガス)で発電機を駆動させる、ガスエンジンが採用されました。石炭は伊田斜坑のものが使用されたので、発電コストが抑制できました。さらに、ガス発生の副産物である硫安ならびにコールタールなども製造、販売したため、発電以外の利益も生むことになりました。モンドガス発電所の冷却水は、伊田竪坑南西の番田池の水が利用されました。大正2(1913)年に第1期工事が竣工して以来、継続して設備が増強されていきます。コールタール池と呼ばれた番田池の池畔で第一・第二煙突や伊田竪坑櫓と並んで威容を誇った発電所でしたが、昭和23(1948)年にその役目を終えました。
第三坑瓦斯発生器 提供:個人蔵 |
第三坑瓦斯発電機 提供:個人蔵 |
参考文献
田川市誌編纂委員会(1954)『田川市誌』田川市.
田川市史編纂委員会(1979)『田川市史 中巻』田川市.
田川市教育委員会(2016)『三井田川鉱業所伊田坑跡-福岡県田川市所在炭鉱遺跡発掘調査報告』.
筑豊石炭礦業史年表編纂委員会(1973)『筑豊石炭礦業史年表』田川郷土研究会,西日本文化協会.
『筑豊煤田地圖(筑豊炭礦誌)』明治26(1893)年製図 明治31(1898)年発行 中村近古堂.
『小倉3号「後藤寺」』明治33(1900)年測量 明治36(1903)年発行 大日本帝国陸地測量部.
『伊田町全圖』大正13(1924)年 伊田町役場.
『筑豊炭山位置略圖(筑豊石炭鑛業要覧)』明治43(1910)年 筑豊石炭鑛業組合事務所.
『九鐵沿線炭鑛位置略圖(最新筑豊石炭鑛業要覧)』大正6(1917)年 筑豊石炭鑛業組合事務所.
『最盛期の筑豊炭田炭坑分布図 昭和15年頃(筑豊石炭礦業史年表)』昭和43(1973)年 田川郷土研究会.