IV 主要な典拠資料

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 典拠資料は当初昭和43年3月には200タイトルに充たなかったが,その後資料の調査,研究が進むにつれて増大し,昭和48年9月現在では840タイトルに及んでいる.このうち古文書・古記録はおおむね所蔵先ごとに一括して1タイトルとし,定期刊行物等も何ヵ年にわたっていても1タイトルとしているので,典拠資料の実数は840をはるかに上廻る点数に達している.しかも,たんに量的にふえただけではなく,年月と共に質的にも良質の資料が多数加えられたことを強調しておきたい.もっとも,すべてを完全に採録したとはいえず,採録洩れや単なるサンプル的にしか使用出来なかったものも少なくない.また「全国石炭関係」欄では天保~明治前期には古文書・原資料を使用したが,他はおおむね単行本によっている.また,そうしなければ収拾のつかぬものとなったであろう.
 ここに典拠とした資料のうち主要なものを各時期ごとに概観してみよう.一応時期を区分して,その時期の特徴なり問題点をごく簡単に列挙し,典拠資料の状況を示すことにするが,これは必ずしも研究的視点によるものではない.時期区分自体が委員会の作業区分による便宜上のものであるから,研究上確定したものでないことはもちろんである.また,ここに挙げた一つ一つの問題が原資料にもとづく今後の詳細な実証研究を必要とするのであって,現在の乏しい研究蓄積をもとに,鋏と糊によって安易に筑豊石炭礦業史を説くが如きはわれわれのもっとも忌むところである.また,もし本格的に書くとすれば,与えられた紙数の数倍をもってしても,なお不足するであろう.したがって,ここに述べるのは,あくまで今後の研究上の参考として便宜的に述べるにすぎないことをことわっておく.
 なお,ここに掲げた典拠資料は比較的に使用頻度の多いものを挙げているが(とくに明治後期以降),とりあげなかった資料にも重要なものがあることはいうまでもない.このほかに今回われわれが及び得なかった重要な資料も若干指摘しておいた.今後の研究にあたっては,当然加えなければならないと考えるからである.