『新・田川紀行』の活用にあたって ―持続可能な観光・ツーリズムと歴史文化の学びを祈念して―

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一般社団法人 田川広域観光協会 理事長 菅原潔

 田川広域観光協会は、平成二四(二〇一二)年に田川地区八市町村の賛同を得て結成され、本年度で十周年を迎えます。歴代の理事、役員の皆様のご指導、ご尽力と各関係団体・関係機関のご理解とご協力に深く感謝申し上げます。

 この間コロナ禍にあって様々なイベントが中止されましたが、この時期にこそと田川地区の観光歴史文化読本の刊行を通して、これからの田川地域の持続可能な学びのある観光・ツーリズムなどでの活用を期待するところです。

 この本の刊行に当たってはコロナ禍で調査が滞り編集委員会が開催できない時期が続く中での二年間でしたが、編集委員長の中野直毅氏をはじめ、編集委員会の皆様ならびに執筆者の方々のご努力により、田川の観光歴史文化の百科事典ともいうべきものを刊行できたことに感謝をし、今後の展開に期待するものです。

 田川地方は、山や川の美しい自然環境に恵まれ、香春に於ける古代銅生産を始め英彦山修験道、神功皇后伝説、地域色あふれた昔話、正八幡神社の杖楽、春日神社の岩戸神楽、風治八幡宮の川渡り神幸祭など悠久の歴史と伝統文化の息づく地域です。近代になっても山本作兵衛氏の絵画や石炭に関する資料がユネスコ世界の記憶に登録されましたように、日本の近代化、工業化を支えた炭都として、全国から文化を携えた多くの人々が集まり、多様な文化芸術活動が根付き、今日に継承されているのを見ることができます。つまり、多様な持続可能な学び活動と連動した観光・ツーリズムの可能性のある地域であると考えるところです。

 本協会並びに様々な団体が主催する企画は、田川の観光ブランド力を高め、グローバルに活躍する今後の人材育成にもつながる大きな役割を果たすものと期待をしているところです。十年間の実績を糧とし、地域の皆さんと一体となり、伝統文化歴史を継承し、新たな活動を生み、育て、明るい地域社会を創造することを祈念し、刊行のお礼の言葉といたします。

令和五年三月吉日