【関連地域】香春町
日田彦山線香春駅から小倉方面に向かうと、採銅所駅とのちょうど中間点に第二金辺川橋梁という鉄橋があります。この鉄橋は地元では〝六十尺〟という名前で親しまれており、景観のすばらしさから列車撮影の名所となっています。この鉄橋の由来は鉄橋の高さが六〇尺(約十八m)であることから名づけられたものです。
この鉄橋の橋脚は複線分の幅を持っていますが、単線分の線路しかありません。その理由は、線路の複線化を想定して手間やお金のかかる橋台や橋脚を予(あらかじ)め造っておくという先行投資の結果なのです。これはトンネルも同様で、同様の方針で作られた東小倉から香春間のトンネルは複線分の幅をもっています。これらの痕跡は香春までの四本のトンネルとともに鉄橋においても確認できます。
大正四(一九一五)年の鉄橋完成からちょうど一〇〇年目にあたる平成二七(二〇一五)年、地元香春町の有志が立ち上がり、日田彦山線(添田以北)開業一〇〇年のイベントを行いました。この催しの中で日田彦山線のシンボルともいえる六〇尺鉄橋の景観整備が提案され、香春町役場とJR九州との連携によって雑木や草の除去が行われ、美しい姿の築堤が蘇りました。また、美しいカーブと鉄橋という取り合わせで鉄道ファンの人気も高まり、撮影の名所として有名になりました。平成三〇(二〇一八)年にオープンした「九州オルレ筑豊・香春コース」のルート上にも鉄橋が最も美しく見えるポイントに休憩場所が設けられ、人気となっています。
(桃坂豊)