中元寺川(ちゅうがんじがわ)流域(糸田町・福智町)
糸田町では、須佐神社で糸田祇園山笠が行われています。田川では数少ない舁き山(かきやま)と曳山(ひやま)が町内を彩ります。巨大な舁き山が動く様(写真⑦)は圧巻で、勇壮かつ華麗な祭りに沿道から歓声が上がります。
旧金田町の南木菅原神社(みなぎすがわらじんじゃ)では、綱分(つなわき)八幡宮(飯塚市)より習ったとされる獅子舞や子どもによる楽が行列に華を添えます。
金辺川(きべがわ)流域(香春町・田川市)
香春町では、宇佐八幡宮に御神鏡を奉納した古宮八幡神社の神幸祭、万葉集にも詠まれた鏡山にある鏡山大神社の神幸祭、最澄が航海安全を祈願した香春神社の神幸祭と続いていきます。また、上香春の須佐神社では、祇園祭りがおこなわれます。鶴岡八幡神社の秋季大祭は、流鏑馬(やぶさめ)(写真⑧)が奉納されます。古宮八幡神社の神幸祭(福岡県無形民俗文化財)は、全国的にも珍しい、屋根が杉の葉で葺(ふ)かれた神輿(写真⑨)で巡行します。そのさい、古宮音頭が口説(くど)かれます。
田川市の若八幡神社(夏吉)の神幸祭は、祭神は『日本書紀』にも登場する神夏磯媛(かむなつそひめ)す。幟山が神輿に続き、奉納太鼓が祭りに華を添えます。岩屋地区では、獅子舞の奉納があります。
今川流域(添田町・赤村)
英彦山の麓にある津野地区の神幸祭では、津野神楽(国指定重要無形民俗文化財「豊前神楽」)が舞われます。以前、下津野では、大きな幟山二台が出ていました。
赤村の神幸祭は、大内田岩戸神楽(国指定重要無形民俗文化財「豊前神楽」)が奉納される太祖神社に始まり、小内田地区でも行われます。光明八幡神社(上赤)(写真⑩)と我鹿八幡神社(あかはちまんじんじゃ)(下赤)の神幸祭が同日に行われます。高さ二〇mの山車は必見で、かつて大山祭と呼ばれた名称に相応しい容貌です。山車には見事な彫刻が施され、色鮮やかな幟旗や馬簾(ばれん)が豊穣の祈りを捧げます。幟は、結婚した女性から奉納され、山笠上で進行を操る「木遣(きやり)取り」は子どもが行います。その壮麗な姿は田園地帯を彩る初夏の風物詩となっています。秋には、秋葉神社神幸祭も開催されます。
※神幸祭Ⅱ・Ⅲの写真⑨⑩以外は、提供:岩永昌子