オルレは韓国・済州島から始まったトレッキングの名称で、土地の言葉で「通りから家に通じる狭い路地」という意味です。子どもの頃、まっすぐ家には帰らず少し探検しながら寄り道をして楽しむ、まさにそんな感じがオルレです。トレッキングコースとして韓国で有名になり、九州にも姉妹版である九州オルレが各地に設定されています。オルレコースは令和四(二〇二二)年三月現在、九州各地に十八コースあります。
香春町は古代より韓国との交流があり、香春という地名の語源は〝カパル〟という古代新羅語の「急な山」つまり、香春岳そのもので、古代銅生産は渡来人の技術に頼るところが大きかったのでしょう。
香春の歴史と、JR日田彦山線活性化を念頭に香春町観光協会が取り組んだのがオルレ誘致でした。オルレの認定を受けるには、最終的に韓国済州島にある事務局の試験をクリアしなければいけません。先にオルレに認定された先輩コースは、数年かけて認定をもらったという厳しさの中、香春町は当時の加治忠一町長、谷岡英彦副町長体制のもと驚異的なスピードで取り組み、半年で認定をいただくことができました。
筑豊・香春コースはスタートが採銅所駅になります。フニッシュ(オルレはゴールではなくフニッシュ)は香春駅なので、マイカーの方は香春町役場に駐車して採銅所駅まで列車をお勧めしています。駅前から歩き矢山地区をのぼってピークである〝矢山の丘〟までがつらい区間です。しかし頂上からの展望は疲れを忘れさせてくれます。ここにある幸運の鐘を思い切り鳴らし、整備された竹林を下り神間歩公園で一休みしましょう。ルートはきれいな柿畑を下り、国道を横切ると小さな丘へと続きます。ここからは宮原盆地が一望できる人気のスポットです。宮原を過ぎ六十尺と言われる第二金辺川橋梁展望ポイントを過ぎると道の駅香春まではひと頑張りです。道の駅で休憩後、距離は短いもののかなりの急登に汗をかくと、〝ふくろう岩展望台〟につきます。ここからは田川の展望が抜群です。
上高野観音寺を過ぎ、田園地帯から香春岳遠望を楽しみ、パワースポットの元光願寺の大クスでパワーをいただき、最後の見どころである香春神社をめぐって香春駅となります。総距離は十二キロ弱でゆっくり歩いて五時間程度の中級コースです。オルレは自分の体力に合わせ、無理のないペースと距離を楽しむことができます。自然と歴史いっぱいの香春コースをぜひお楽しみください。