前専務理事 太田傳
『新・田川紀行』は構想から五年目を迎えます。田川地域の観光に課題があるとすれば、従来型のマスツーリズムからの脱却と持続的に発展可能なツーリズムという新たな形の構築です。地域住民の地域素材に対する豊かな価値観がその基盤になります。
例えば赤村の地域素材は他地域にひけをとらない豊かさがあります。また、住んでいる皆さんがその価値を自覚されているよさがあります。それは、山河、農産物、祭や行事、地域に点在する伝説や伝承、昔話がもっている内在的な豊かさへの自信です。大切にするということは誇りを持つということです。人知れず眠っている村の行事に都会から来る人々は、新たな発見と驚きをもって意味づけ、価値づけてくれます。
大切なことは ①観光素材の発掘 ②地域人材の育成 ③村の生活を共体験してもらう仕組みと情報発信 そうしたヒントや入り口を創立十年の節目に丁寧に調べかたちにしたのがこの『新・田川紀行』です。
編集部の皆さんには三年間にわたって本当にご苦労をおかけしました。『新・田川紀行』は出版だけで終わりではありません。修験道や伊能忠敬、赤煉瓦橋梁だけを取り上げた分冊化や市町村ごとのリーフレット化など、様々な企画に活用していただくことを願っています。
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