ではこれらの地層の堆積は、いつ頃、どんな環境の中で行われたのだろうか。
地質年代を決める方法としては、地層を堆積した順序に整理して組み立て、その地層の中に含まれている化石を調べたり、あるいは岩石や地層の中に含まれている放射性同位体を利用して調べる方法等がある。これらの方法で調べられた地球誕生以来四五億年の地球の歴史をまとめたのが3表である。しかし、化石などで詳しく調べられるようになったのは古生代からで、その古生代の始まりは五億九,〇〇〇万年前とされている。
その古生代の前半の日本は陸地にあって浸食作用を受けていたが、後半になると海底に沈み砂や泥が分厚く堆積していた。末期になると再び陸地化して「古い日本」が出現した。
これに続く次の時代の中生代になると、日本の各地に恐竜の仲間が生息するようになった。中生代の中頃からは造山運動が起こり、激しい変動の時期に入ってきた。
新生代に入ると、前半の第三紀中頃から日本は再び海底に沈み、その後引き続いて起こった新しい造山運動の中に入って、激しい海底火山の爆発や日本海の生成活動が起こったりして、現在見られる千島、本州、琉球などの弧状列島の原形が作られてきた。
その後新生代後半の第四紀の日本列島は隆起を続け、加えて四回の氷河時代を経験しながら現在に至っている。
このような日本列島の歴史の中で、高根沢の大地がどのような経過をたどって来たのか大変興味の持たれるところである。古い時代の事実については観察することはできないが、周辺地域の観察事実を合わせながら、高根沢の新第三紀中新世(およそ三,〇〇〇万年前)の頃からの経過について考察してみたい。
3表 地質年代表と栃木県の大地