三月になると、移動性高気圧がほぼ定期的に日本付近を通過するようになり、高気圧と低気圧とが交互に通過するため天気の変化も周期的に変わるようになる。高気圧が来た時には乾燥した晴天となり、気温も高くなるが、夜間の放射冷却による気温の低下も激しく寒暖の差が著しい。最高気温が二〇度をこえたりする一方最低気温が真冬並みの零下七度~八度に達するときもある。特に発達した低気圧が日本海を通過するときは強い南風が吹き荒れて春の嵐になることが多い。このようなときは気温が上昇し、湿度が急激に下がって乾燥し、火災が起きやすい。二月までに比べて雨の降る回数が多くなり、よくいわれる三寒四温を体験するのがこの頃で、一雨ごとに気温が上がってくる。
一日の最低気温が零度以下の冬日は三月の中旬で終わり、気温は上昇を続ける。特に最高気温は三月の始め頃から一〇度をこえるようになり、いろいろな生物の活動が見られるようになる。中旬を過ぎると、冬眠からまだ覚めきれない植物のトップを切ってコブシの花が開花し春の到来を感じさせてくれる。暖かい年には下旬にサクラの花の開花も始まる。
四月に入ると気温はさらに上昇し、冬日は月初めにせいぜい二~三日ある程度で、以後は姿を消してしまう。一方月末には最高気温が二五度をこえる夏日が現れてくる。サクラが満開になるのは平均して四月一〇日前後で、小中学校の入学式に彩りを添えてくれる。降霜は四月の中旬にはだいたい終わるが、よく晴れた日に起こる放射冷却により、季節はずれの霜を見ることがある。いわゆる晩霜で、最近の記録を見ると平成三年には五月三~六日に、平成四年には五月一二日にあって、農作物に大きな被害を与えている。
五月に入ると気温はさらに上昇し、平均気温は一五度をこえ、最高気温は二〇度をこすようになる。下旬になると夏日が七日前後現れ、まれに三〇度をこえる真夏日も出現するようになる。中旬にはさわやかな五月晴れの中をカッコウが鳴き始める。雷の発生が急に増加するのも五月で、強い日ざしによる局地性のもの、強い寒冷前線に伴うものなど平均して四回程度はある。この雷雨にともなって雹が降ることがあり、農作物の受ける雹害は五月に集中している。最近では平成元年、平成四年に大きな被害を受けている。