23図 ナルコユリ
24図 ハンショウヅル
中阿久津北部よりJR東北本線(宇都宮線)をはさみ宝積寺の市街をつつみ東側は新堀、野元川幹線排水路に沿って南下、西側は鬼怒川岸までの間、御料牧場を経て本田技研研究所に至る台地である。この台地にはまだ多くの平地林がみられコナラ、クヌギ、リョウブ、アカシデなどを主体とした数少ない落葉広葉樹林、雑木林がある。一部にスギまたはシラカシが主体となっている林が混じる所もある。この落葉広葉樹林は樹高一五乃至二〇メートルくらいの樹木で構成されている。コナラ、クヌギ、クリ、ヤマザクラ、コブシ、ウリカエデ、アカシデ、イヌシデ、ネムノキ、エゴノキ、ヤマモミジ、オオモミジ、ヌルデ、ミズキ、ケヤキ、エノキ、リョウブなど、その中にシラカシ、アカマツ、ヒノキ、スギなどの常緑樹がわずかに混じる。亜高木や低木の主なものはヤマウルシ、ガマズミ、イボタノキ、ニシキギ、コマユミ、ニワトコ、ゴンズイ、ムラサキシキブ、アオキ、ヒサカキ、イヌツゲなど。林床のサルトリイバラ、ヤマジノホトトギス、シュンラン、ササバギンラン、イタドリ、アキカラマツ、ウマノアシガタ、ハンショウヅル、レンゲショウマ、ヤマハタザオなど多くの種類で構成されている。近年山林の管理形態が変ってきて放置されている所もあり、クズ、フジ、カラスウリなどが絡みつき樹木が枯れかかっている所も少なくない。またアズマネザサの侵入により林内にはいれないような藪となって下草をなくしている所もある。適当な手入れ管理がなされている所もあり、そこには減少傾向にあるカタクリの群落があって春には可憐な花をたくさん咲かせていた。シュンラン、フモトスミレなども手入れされている林内にみられた。
自然が失なわれつつある現代、このような林は大事に保存すべきではないだろうか。
25図 ヒメオドリコソウ
26図 モミジバヒメオドリコソウ
台地内の林内、林縁に開発地もあり、そこには帰化植物のヒメオドリコソウやセイヨウタンポポの大群落があり花の季節には花園をつくる。開発造成地の特徴のひとつに帰化植物の繁茂があるがその中には珍らしい帰化植物もある。シソ科のモミジバヒメオドリコソウはまだ少ない種類で一ケ所だけあった。付近にはヒメオドリコソウの群落があり全形は大変にているが葉がモミジの葉のように掌状に切れ込んでいるのでこの名がある。またヒメハギ科のハリヒメハギは草丈が三〇センチくらいで、名前のように茎が針状に細く枝も葉も少ない植物で、白色の小さい花が多数集まって二センチほどの穂状になる。両者とも小さい群落をつくっていた。