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町の木イチョウ

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32図 イチョウ

 中国原産でいつ頃日本に来たかは不明である。現在野生のイチョウは中国でもほとんどなく、浙江省にわずか自生しているらしい。中国名は鴨脚樹とか公孫樹などという。
 この樹は雌雄異株。雌雄の見分け方は昔より諸説があり、葉の中央部が深く切れ込んでズボンのように見えるものは雄木。切れ込みがほとんどなくスカートのように見えるものは雌木。また大木では先端の枝が広がり竹箒のように見えるものが雌木。先端の枝が筆の穂先のようにまとまって見えるものが雄木との説もあるが、必ずしもそうではないようである。火に強い木であり果実は咳止めなどに用いられたので火防の木、薬の木として珍重された。大樹の多くが寺院や神社にみられる。
 イチョウは、系統的発生よりみると古い木で先祖は古生代には自生していたらしく、生きている化石とよばれている。果実をギンナンと言う、食用にするが多くの有機酸を含んでいるから生食や一時に多量食べることはさけたほうがよい。