3図 高根沢町の縄文遺跡
高根沢町は西に鬼怒川が流れ、その左岸には平坦な高台をもつ宝積寺台地(低地との比高差二〇~二五メートル)、中央に整然と区画された水田地帯となっている五行川低地、東側には樹枝状に開析谷が発達し起伏に富んだ喜連川丘陵(低地との比高差五〇メートル前後)がそれぞれ南北に展開する。また、五行川低地の東西には氏家・仁井田台地、石末台地の低台地が付属する。遠く北西には独立した羽黒山が、その背後には西から北にかけて男体山をはじめとする日光の山々から高原山、那須の連山が望まれ、縄文時代にも今日と同じような四季折々の風景が展開したものと思われる。
本町の遺跡は、平成三~五年にかけて行われた町教育委員会の詳細分布調査(高根沢町教育委員会 一九九四)により二五〇ヵ所の遺跡が確認された。このうち縄文時代の遺跡は八〇ヵ所ほどである。これらの遺跡は町内各地で発見されているが、大規模な遺跡は台地の縁辺および丘陵の平坦部に立地しており、中央の低地からの発見例は少ない(3図)。