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草創期・早期の遺跡

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 草創期はまだ寒暖を小刻みに繰り返す晩氷期で、県内では遺跡の発見例は少なく、土器を出土した遺跡は徴隆起線文土器を出土した宇都宮市大谷寺洞穴遺跡など数遺跡しかない。本町では土器は出土していないものの、旧石器時代の終末から縄文時代草創期に盛行する有舌尖頭器が、微高地上に立地する上高根沢の金井(旧称西根B)遺跡で二点、金井神社東遺跡と太田の砂部遺跡で各一点出土しており、町内にもこの時期の遺跡が存在していた可能性は高い。
 早期は気侯がしだいに温暖になり、狩猟・漁撈・植物採集の生業活動、定住生活が確立する時期である。栃木県内でも宇都宮清陵高校地内遺跡で竪穴住居跡と撚糸文系土器や石器が出土し、発見例は増加傾向にある。しかし、断片的に土器片が採集されているのみで、実態が明らかでない遺跡が多い。町内では石末の西の台遺跡、中柏崎の西ノ内遺跡、文挾の本郷遺跡、亀梨の大用地遺跡から数点の早期後半の条痕文系土器が採集されている程度である。石器は早期前半の撚糸文系土器に伴うであろう三角錐状石器が砂部遺跡から出土しているが、実態は不詳である。

4図 町内出土の縄文時代早期の遺物
1.砂部 2・3.本郷 4.大用地 5.西の台