縄文時代は移動生活を送っていた旧石器時代と異なり、季節に応じて食料が容易に獲得できるようになり、定住生活が可能となった。これは、植物採集・狩猟・漁撈といった生業活動の多様化によるところが大きく、植物食料の採集や加工のための打製石斧・石皿・磨石・敲石などの生産用具をはじめ、石槍や石鏃などの狩猟具、骨角製の釣り針やヤス、石錘や土錘などの漁撈具の出現などがそれを裏付けている。
定住生活を送るには、様々な数多くの道具が必要となってくるが、これらは身近にある土・石・木・蔓・骨角などのが素材であろう。金属やプラスチックなど素材は変化しているものの、現在もなお、その形態が残っている道具が少なくない。ただ、多くの台地の上の遺跡では、土器と石器以外は腐ってしまいほとんど残ることはない。しかし、それらは無かったのではなく、残らなかっただけであり、これらについても考えていかなければ、縄文時代の復原は片手落ちになってしまうことも事実である。