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食糧獲得の用具

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 狩猟具の代表は弓矢であり、ほとんどの縄文時代の遺跡で使用されていたと考えられる。しかし、弓と矢柄は多くの場合腐ってしまい、石でできた鏃のみが残る。石錐・石匙などと同様、メノウ・チャート・玉髄・黒曜石・珪質頁岩・流紋岩など薄く割れ、割れ口が鋭利な性質の石材が選ばれる。本町でも多くの遺跡で出土しており、西根遺跡では二等辺三角形を基本としながらも、矢柄を装着する基部に注目すると、有茎・平基・凹基・円基など様々な形態がある(10図)。
 漁撈には、骨角で作った釣り針やヤス、網自体の出土例はないが網漁に使う石錘や土錘、土器片に糸かけの刻みをいれた土器片錘などがある。石錘は網の錘で河原石の両端を打ち欠いたもの、溝を巡らしたもの、長軸の両端に切り込みを付けたものなど多様なものが存在する。また、大きな河川や湖沼では丸木舟なども使われたであろう。
 植物採集には植物繊維で編んだカゴやザルなどの入れ物があったものと考えられる。また、ヤマイモやユリ根を堀り起こすには打製石斧(石鍬)のほか、木の先端を加工した掘り棒なども使われていた。
 このほか、木を伐採したり加工を行う大小の磨製石斧や、石器を磨くための砥石、皮製品などに穴をあけるのに用いた石錐などの工具がある。

16図 食料獲得・加工の用具
1・2.石鏃 3.石錐 4.石匙 5.石錘 6.土錘 7.打製石斧 8~10.磨製石斧