17図 石皿と磨石
調理の道具の代表的なものは土器である。煮炊きや貯蔵用の深鉢形土器のほか、盛りつけ用の浅鉢形土器、液体を入れた注口土器や壺など様々な形や大きさのものがある。また、木製の椀や浅鉢などの容器、スプーンなどがあったことも低湿地の調査で明らかになっている。
一方、動物の解体などには石匙やスクレイパーなどのナイフが使用された。石匙は撮みをつけ縁辺に刃を作りだしたナイフのような石器で、撮みに紐をかけ腰にぶら下げ携帯用としていたと考えられている。
堅果類や根茎類などの植物質食料の製粉加工には、台石としての石皿と、その上で叩いたり磨り潰したりするための磨石・敲石などがある。これらは、摩擦に便利で欠けにくい安山岩・砂岩・フォルンフェルスなどの比較的身近にある石材が選ばれている。なお、石皿の裏面には多数の凹痕が認められるものが多く、磨石の表裏面中央にも一~二個の凹痕を有するものが少なくない。これらの凹痕は木の実の皮を割ったりするためのものと考えられている。