上の原遺跡が中期中頃のこの地域の中心的集落であることは前節で述べた。このような集落は、その地域の情報の拠点であり、周辺地域から情報が集まる場でもある。そのため、まれに近隣の地域圏をさらに越えてやって来た遠隔地の土器などが出土する場合がある。それらの土器は石材のように直接持ち込まれたものはあまりなく、情報の伝播によりその地で模倣されたものがほとんどで、本場ものに較べると、器形が崩れていたり、地元の土器の模様や施文方法をアレンジして用いるなど、やや変質しているものが少なくない。その原郷土が遠い場合、いくつもの集落を経由してくるため、模倣に模倣を繰り返し原型をほとんど止めていないものや、原郷土の土器より若干遅れて普及するものなどもある。