上の原遺跡では、この連弧文土器は二二、五四号土坑で出土しているが、いずれも破片で全体の器形が明確でない。二二号土坑のものは(2)二段構成の連弧文であるが、西関東ではほとんど見られない波状口縁となるものである。五四号土坑のものは(1)地文に本県では少ない条線文が施されている。しかし、連弧文自体の文様が単純であるため、これらの土器が搬入品か模倣品かの判断は難しい。いずれの連弧文も二~三本の平行沈線で引いているが、沈線は乱れており、稚拙さは否めない。
これらの次の段階の連弧文土器が一三六号土坑の土器(3)であろう。連弧文は波状文に変わり、二二号土坑の土器のように二段の連弧文を交互にずらさず、ほぼ同じ波長で描かれている。
38図 上の原遺跡出土の連弧文土器