仏教の伝来は古代人の生活文化にも大きな影響を与えた。葬送の一つである火葬についてもそのことがいえる。火葬は死体処理の一つの方法で、その他に土葬・水葬・風葬などがあるが火葬は土葬とともに広く行われた方法である。火葬はインドにおいて古くから行われていたもので、その葬送は仏教の教えとともに仏教徒に継承され、僧侶に採用されるとともに日本に伝えられたものである。
我が国における最初の火葬は、「続日本紀」によると文武天皇四年(七〇〇)に僧の道昭が実施したとの記載があるが、発掘調査などの所見からはそれ以前にも火葬は実施されていたことが知られる。その後、持統天皇の火葬が大宝二年(七〇二)に行われ、貴族・官人・僧侶等により、広く実施されることとなっていった。