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コラム 古図にみる阿久津城

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27図 阿久津城図


28図 阿久津城跡 図の左側、丘陵上の山林一体が城域

 阿久津城は、現在その大半が破壊されている。しかし、残されている古図などによりある程度の推定復元は可能である。一例として『日本城郭史資料』に収録されている阿久津城図を見てみよう。
 『日本城郭史資料』は敗戦前の陸軍省の機関である本邦築城史編纂委員会が収集した資料の控えで、現在国立国会図書館に保管されている(中井均「本邦築城史編纂委員会と『日本城郭史資料』について」『中世城郭研究』七 平成五年)。阿久津城図は、「第五冊上野国・下野国」に収録されている。
 さて、この図ケバなどは用いず、実線のみで表現されている。現存する遺構と比較すると、中心部にある主郭西側の張り出し部、最北端の堀の様子など極めて似ており、かなり信頼のおける図であることがわかる。おおまかな縄張りの様子は、ほぼこの図のとおりだったと考えてもよいだろう。その半面、斜面に設けられた竪堀が表現されていないなどの欠点がみられるのも事実である。
 ところで、『日本城郭史資料』に収録されている図には、江戸時代の図を筆写したものや、戦前に実地踏査したものなどいろいろな種類がある。阿久津城の図も、何らかの原図があったと思われるが、その実体については今のところ不明である。