七月四日大坂着、日本橋筋長町七丁目、天王寺・藤井寺道、河内屋庄左衛門方に宿をとる。高野からの道程十六里二十二町。翌日、聖徳太子ゆかりの四天王寺、第五番札所藤井(葛井)寺へ参り、さらに中将姫伝説で知られる当麻寺を参詣して新庄に泊まる。七月六日第六番札所壺坂寺へ参り、そこから吉野の金峰山寺へ詣で、役行者開基の吉野修験の本尊・蔵王権現をまつる蔵王堂を参拝。山を下って泊まる。近くの清水寺という寺で弁慶石、弁慶の鎧、太刀と伝えられる物を見る。
七月八日は第七番札所岡寺、第八番札所長谷寺へ参詣。柳元泊、九日丹波市町(現天理市)を経て奈良へ入る。奈良までの道程二十七里二十二町。猿沢池から五重塔を拝し、第九番札所興福寺南円堂へ参詣「他の堂は兵火に合い」跡もない。ついで東大寺大仏殿、二月堂、三月堂に参拝、木津から玉水にでて泊。十日宇治の第十番札所三室戸寺千手観音を拝し、黄檗山万福寺に参詣、第十一番札所上醍醐寺観音堂に参詣し、さらに大津の第十二番札所岩間寺へ参詣するが、ここは宿がなく、石山寺まで行き泊まる。十一日第十三番札所石山寺観音堂を拝し、ついで瀬田、大津の観音堂、唐崎大明神に参り、比叡山を五十丁ほど登って延暦寺根本中堂、聖徳太子御堂、法然上人が遁世していた黒谷法然房に参詣し、鞍馬に泊る。
七月十二日、源義経と天狗の伝承の鞍馬寺で義経が修行に使った太刀、錫杖、天狗の鎧兜などを見て、貴船大明神に参り、京都の柳馬場・近江屋に泊まる。奈良から京都まで道程二十五里十八町。十三日は三十三間堂、第十五番札所今熊観音寺、東福寺、第十六番札所清水寺、第十七番札所六波羅蜜寺、八坂神社、法然が比叡山をでてから庵を結んだ跡の新黒谷・金戒光明寺、真如堂、第十八番札所六角堂。第十九番札所行願寺革堂に参詣。十四日は荷物の一部を纏めて米原へ送った。十五日京都を出立し北野天神、御室仁和寺へ詣でてから嵯峨野・釈迦堂へ参詣、亀山で泊。