七月十六日は丹波の第二十一番札所穴太寺、山城へ戻って第二十番札所善峰寺へ参詣。摂津の国へ入り第二十二番札所総持寺へ参詣して泊まる。十七日、第二十三番札所勝尾寺、第二十四番札所中山寺(現宝塚市)へ参詣し、西宮で泊。十八日、兵庫の観音堂、安徳天皇ゆかりの釈迦如来、平清盛の石塔などに詣でながら須磨寺に詣でる。この寺で平敦盛の青葉の笛、小桜縅の鎧兜などの宝物をみた後、敦盛の石塔を拝す。明石では柿本人麻呂の石塔を拝し大久保に泊。ついで播磨の国の高砂・曽根の老松を眺め、姫路へ着く。京からここまで道程四十六里六町。姫路から第二十七番札所書写山円教寺へ登り本尊如意輪観音を拝し、下って第二十六番札所法華山一乗寺を通り馬勢で泊。そこから加古川をさかのぼって、第二十五番札所清水寺へ参詣。丹波の古市、福知山を経て丹後へ入り、大江山東麓の元伊勢神宮を参拝、大江山を越えて宮津へ着いたのが七月二十二日夕。
翌朝、船で対岸へ渡り丹後一の宮籠神社へ行く。名物の餠、豆腐、こんにゃくなどを振るまわれ、参道十八丁程登り第二十八番札所成相寺観音堂に参詣、帰路、天の橋立を眺め、由良へ行く。ここで安寿と厨子王の話で知られる山椒太夫屋敷を見、田辺を経て第二十九番札所松尾寺に参詣して泊。小浜、熊川から追分を通り今津の船宿与兵衛へ着いたのが七月二十六日。今津から竹生島を経て武佐までの琵琶湖を渡る船賃一人百文を払い、まず竹生島に渡り、第三十番札所宝厳寺で有名な竹生島観音、弁財天、竹生島明神へ参詣する。ついで、船路十里、武佐で第三十一番札所長命寺観音へ参詣、持参した納経礼を納めたのち近江八幡へ詣でてから安土の第三十二番札所観音正寺へ参詣、二十七日は泊。翌日は前原、柏原を経て関ケ原まで十一里半を歩き泊り、二十九日昼第三十三番札所美濃の谷汲山華厳寺へ参詣し、西国三十三番観音霊場巡りを終わった。この日は岐阜まで来て泊まる。