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栃木県の大区、小区

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 明治六年(一八七三)六月一五日、宇都宮県と栃木県が合併し、下野国は栃木県に一本化した。次いで七月一八日には、これまでの両県区画制度、その他にわずかな違いがあることから県統一を推進するために大区、小区を次のようにした。
 
  一、大小区画制度の事
   当県大区ハ概略一万戸、小区ハ大凡千戸ヲ目的トシテ相定メ之レ有リ候、就テハ旧宇都宮県管下四郡モ右ニ準ジ改正致スベシ、尤モ土地ノ広狭、民居ノ疎密等ニヨリ、一概ニ難論場合モ之レ有リ候得共、大凡前顕ノ見込ヲ以テ相定候積リ
  二、各町村宿用掛の事当県用掛ノ儀ハ進退トモニ県庁ヨリ相達スル例ニ候、右ハ区画改正ノ上、右ハ区画改定ノ上、此振合ニテ河内外三郡ヲ以テ用掛ト相改候積リ
    (『栃木県史』史料編近現代一・一五四頁)
 
 以上二項目は庁議で決定、戸籍係の少属渡辺醇、権少属錦織真澄の二名が旧宇都宮県下四郡を巡回し、地理を視察して改定し、九月二〇日に大蔵省に上申している。改定により全県下は一三大区一一四小区に、旧宇都宮県管下は第三大区から第六大区までに編成された。本町域は表4・5にみられるように第三大区一小区と二小区に分かれている。戸長、副戸長は、明治六年時点で一小区二四か村宿では戸長桧山六三郎(氏家宿)、副戸長見目清作(太田村)、同古郡寛一(平田村)が、二小区二二か村宿の戸長は逸見爲庸(喜連川宿)、副戸長鈴木良一(飯室村)、同上野周資(喜連川宿)があたり、布達の徹底、戸籍、租税徴収など主要な事務に当った。
 明治八年になると小区内の村数が少し変わり、戸長、副戸長も代わった。第三大区一小区では那須郡の曲畑村が加わり二五か村宿になった。戸数一、四二二軒、人数は九、一二五人で戸長は桧山六三郎であるが副戸長には若目田健次郎(阿久津村)、矢口長右衛門(中柏崎村)、宇津程一郎(上高根沢村)がなり、御用取扱所は氏家宿になった。各村の用掛は表6のとおりである。第二小区は明治六年の時より平三郎村がなくなり二一か村宿になり、戸数一〇八軒、人数六、一七一人である。役員も代わり、戸長岩田敬一(喜連川宿)、副戸長は鈴木良一(飯室村)、安藤勝(喜連川宿)、佐野又一郎(葛城村)と副戸長が一名増員している。
 その後、栃木県では明治九年四月大小区が改正された。従来の大区、小区を統合して四大区五二小区に定めた。本町関係の各村は氏家管轄下の村々と合併し第三大区一小区の三七か村宿の中に入った。区務所は従来どおり氏家宿におかれた。この時、関俣村と前高谷が合体し花岡村になっている。
 地域の行政事務を取り扱う正副区長と正副戸長の職掌についても明治八年に改正している。それによると、正副区長は大区に置くが、便宜上小区に在勤し、その事務一切を担当し、公務のすべては県庁の主任課へ稟議遵行すること。正副戸長は小区内の事務すべてを行い正副区長に商議することとなっている。県では戸長の等級を準等外一等、月給七円、準等外二等、月給六円としている。副戸長は準等外三等、四等とし、月給五円、四円と決めた(『栃木県史』史料編近現代一・一七二頁)。こうした区・戸長を官吏として処遇する動きは、県令を頂点とし正副区長、正副戸長から村政の末端の用掛り、伍長にいたる地方支配組織が集権的に整備されてきたことを物語っている。
 
表4 第3大区1小区24か村宿(明治6年)
村宿名
塩谷郡宝積寺、石末、柳林、赤堀新田、上高根沢、栗ヶ島、寺渡戸、西高谷、
平田、太田、桑窪、中柏崎、下柏崎、前高谷、大谷、中阿久津、上阿久津

富岡新田、長窪新田、馬場、氏家宿、桜野、氏家新田
那須郡八ケ代村

注 下線は高根沢町域内     『栃木県史』史料編近現代1・157、158頁より作成
 
表5 第3大区2小区22か村宿(明治6年)
村宿名
塩谷郡上野新田、関俣、上柏崎、亀梨、飯室、柿木沢、柿木沢新田、狭間田、
狭間田新田、松山、松山新田、谷中新田、根本新田、鍛冶ケ沢、葛城、
平三郎、文挾、伏久、喜連川宿、早乙女
那須郡鴻ノ山、福岡

注 下線は高根沢町域内    『栃木県史』史料編近現代1・157、158頁より作成

図7 桧山六三郎(下野新聞社『歴史事典』より)

表6 明治8年村々用掛拝命
 氏家宿本間斧三郎
橋本広三郎
察田精吾
猪瀬万平
 上阿久津村若目田治郎平
小森登七
若目田与市
土居幸一
若目田弥十郎
 中阿久津村野中久四郎
 馬場村手塚七郎平
 長久保村小竹弥七
 宝積寺村小池善十郎
 桑窪村矢口九内
鈴木泰―郎
 栗ヶ島村矢野新一郎
 寺渡戸村岩原孫平
 上高根沢村岩本与四郎
高瀬九内
赤羽吉郎平
 下柏崎村鈴木源一郎
 赤堀新田鈴木瀧治郎
 中柏崎村矢口長右衛門
 石末村加藤定十郎
 柳林村加藤孫重郎
 西高谷村鈴木重郎平
 平田村加藤東十郎
加藤勝一郎
 前高谷村鈴木源治郎
 太田村加藤善吉
加藤庄平
 富野岡新田秋本慶重郎
 氏家新田相吉沢佐重
 桜野村村上市郎平
 八ケ代村小池藤内
 大谷村阿久津哲三郎
阿久津祐七
阿久津青眠
 惣計 用掛人名 38名