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宝積寺興業銀行の開業と合併

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 宝積寺興業銀行は、大正九年一二月一六日に設立され、本店を阿久津村宝積寺二三九〇番地に置き、資本金を一〇〇万円とした。設立時の役員は、頭取・増形監物、取締役は塚原貞一郎らで、地方の地主が名を連ねた。翌年一一月には、城山支店・南高根沢支店・小貝支店を置いたが、一一年一月二三日喜連川銀行に合併し、設立わずかに一年でその姿を消した。
 宝積寺興業銀行を合併した喜連川銀行は、明治三二年に設立され、喜連川町に本店を置いた。資本金は設立時の五万円から五回の増資後大正一〇年には二二〇万円まで引き上げられた。役員は有力地主・肥料商などにより構成され、その中に熟田村大字飯室の鈴木良一が取締役として経営に参加していた。支店も氏家・熟田・荒川・江川・宝積寺・南高根沢・小貝・城山と八支店を設け、堅実な経営を展開した。
 喜連川銀行も宇都宮・鹿沼・下野実業・烏山産業・今市銀行とともに、一四年の下野中央銀行の設立に参加し、解散した。

図19 宝積寺興業銀行の元の建物