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国有鉄道以降の宝積寺駅

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 明治三九年(一九〇六)三月一日鉄道国有法の施行により、その年の一一月一日、日本鉄道会社の路線が買収され、逓信大臣直轄の省外作業庁として「鉄道作業局」に引き継がれ、国有鉄道となった。これにより、東北本線ももちろん国鉄の一路線となった。四〇年四月一日には官制の改正により帝国鉄道庁の所属となり、翌年の一二月五日には鉄道院が設置され、内閣直轄となった。これにより、北海道・東部・中部・西部・九州の五鉄道管理局が置かれ、東北本線は東部鉄道管理局の所属となった。
 四二年一月二一日、宝積寺駅は開業一〇周年を迎えた。この年は一一月に明治天皇の統裁のもと陸軍特別大演習が行われた晴れがましい年であった。記念祝賀会は一二月五日に、宝積寺銀行頭取の矢口縫太郎(二代目矢口長右衛門)・宝積寺殖民株式会社社長の小池与一郎・宝積寺郵便局長の鈴木昌司・共立合資会社社長阿久津勝太郎・肥料商組合委員の鈴木良一らが委員となり、宝積寺駅前で多数の来賓を招いて盛大に挙行された。
 大正期に入ると、二年に東北本線は東部と中部鉄道管理局を合併した東京鉄道管理局(四年六月二三日に再び東部と中都に分割)所属となった。翌年宝積寺駅に電気が入り電灯が灯された。このころになると列車の運転本数が増加し、四年に保安のために上・下線出発信号機が新設され、さらに宝積寺米券倉庫株式会社の専用線(引込み線)が設けられた。
 大正元年からの乗降客をみると、乗車において年間約七万三〇〇〇人であったものが、徐々に増加し六年には一〇万人台に達し、一二年の約一六万三〇〇〇人をピークに昭和期に入ると下降線をたどってゆく。貨物については、宝積寺駅から送られる量は、元年で約一万五〇〇〇トンであったものが、六年にはいっきに二万七〇〇〇トン台に上がったが、八年の二万八〇〇〇トンをピークに下降して行き、一三年には九、〇〇〇トン台に減少し、以後横ばい状態で推移していった。一方、到着する貨物は、発送される貨物の約三分の二の量で、その変化も発送貨物とほぼ同じ曲線で推移した。貨物の内訳をみると、圧倒的に米が多く、ピーク時の六年で一万トンを超えていた。次に多いのが、葉煙草と木炭で、ピークの時には七、〇〇〇トンを超えたが、量的にはだいぶばらつきが見られる。次に麦・肥料類が多く、肥料は人造・豆粕・海産肥料などがみられたが、今までの米や葉煙草・木炭が発送されるのに対して、肥料は到着する貨物であった。この他、薪・木材・和紙・繭・味噌・醬油・馬などの品目が駅の発着貨物として多かった。
 今日のキヨスクの前身ともいえる宝積寺駅構内での出店が一〇年八月五日に許可され、旅行用の小間物や新聞・雑誌・和洋酒・菓子・たばこなどが売られるようになった。そして、待望の烏山線が一二年に開通し、さらに乗降客が多く利用するようになった。
 なお、宇都宮―宝積寺間の電化は、昭和三三年一二月一五日に開始され、翌年五月に宝積寺―黒磯間が電化し運転が開始された。複線化は三六年一二月に岡本―宝積寺間が、翌三七年一月に宝積寺―氏家間が運転開始となった。
 
表6 明治30年代の宝積寺駅の乗降客数
乗   客
年 次乗 車降 車
 
明治37
明治39

 30,871
 37,970

 30,330
 37,727

『栃木県治概要』より作成
 
表7 大正・昭和期の宝積寺駅の乗降客数
 年 次 旅   客
乗 車降 車
  
 大正 1
 大正 2
 大正 3
 大正 4
 大正 5
 大正 6
 大正 7
 大正 8
 大正 9
 大正10
 大正11
 大正12
 大正13
 大正14
 大正15
 昭和 2
 昭和 3
 昭和 4
 昭和 5
 昭和 6
 昭和 7
 昭和 8
 昭和 9
 昭和10
 昭和11
 昭和12
 昭和13
 人
 72,621
 87,416
 85,856
 86,868
 93,740
 109,844
 128,959
 153,182
 146,955
  
  
 163,101
 119,838
  
 149,590
 150,615
 141,845
 140,088
 138,541
 126,156
 112,607
 101,988
 108,746
 114,782
  
 111,158
 119,838
  人
 75,419
 87,326
 86,064
 88,970
 95,106
 111,320
 130,069
 150,603
 157,653
  
  
 158,089
 120,702
  
 156,068
 151,843
 147,160
 147,558
 146,204
 129,934
 115,145
 104,818
 110,772
 112,320
  
 109,590
 120,702

注 空欄は統計記載なし    『栃木県統計書』より作成