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国防同盟会

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 昭和五年(一九三〇)は日露戦争後二五周年並びに天皇即位三周年にあたり、一二月三日帝国在郷軍人会、塩谷郡連合分会、喜連川町、同警察署などの主催による連合演習が計画された。参加団体は喜連川町、氏家町、熟田村、北高根沢村、阿久津村二町三村の在郷軍人会、青年訓練所、消防隊並びに喜連川町公民実業学校同公民女学校、同尋常高等小学校、同処女会などで青少年訓練の一助として実施された。
 訓練は歩兵五九連隊、砲兵第二〇連隊、輜重兵第一四大隊らの応援を得て実施された。
 国防思想は昭和六年の満州事変勃発により地方に滲透し、昭和八年八月には第一回関東地方防空大演習が実施された。この年阿久津村には「国防同盟会」が発足している。
 阿久津村同盟会は会則第二条に記されているように時局に鑑み、国家の権益確保の為、国防の不備欠陥を補い充実を期するために組織された。この目的を達成するために次のような事業を行うことにした。
 
  一 陸海軍新兵器充実費の援助
  二 出征軍人及現役兵並にその家族の慰問その他
  三 青年訓練の訓練
  四 外交と国防との研究並に国防観念の鼓吹、臨機名士を聘し講演会を催す(資料編Ⅲ・三九八頁)
 
 この事業の充実を図るため理事、評議員、幹事をおき、理事は各字区長、分会副長、青年団長、分会班長併置校長、評議員は各字五名として、消防部長、青年支部長、分会役員を主としその他有志よりこれにあてた。幹事には本村収入役及び兵事主任があたるというように、村をあげて組織化された。同盟会は満州事変勃発の九月一八日を記念日とし、毎年各大字別一斉に村社に参集して慰霊祭を行った。会費は、一か年一〇銭を徴収し、うち五銭を慰霊祭の経費に、残る五銭は毎年新兵器充実費に司令部を通して献納することにし、国力増強に積極的協力を惜しまなかった。一方で、在郷軍人の品位を保ち協力一致軍事思想の発達を図るため軍友会も組織され、村は可能な限りの協力体制を組織していった。

図27「防空演習、防諜訓練」冊子(石末 野沢俊子家蔵)