まず、米づくりは堆肥を田に入れることから始まる。農家では三月に入ると馬にビクを付けて堆肥を運んだ。ビクとは、運搬用の道具で木枠の両側に藁縄で編んだ袋状の入れ物を付けたもので、これを馬の鞍に載せて運んだ。この時、片方ずつ堆肥を入れる際に、ザグ股の枝であるツッカエボウ(つっかえ棒)で木枠を支えた。そこに堆肥を入れ、もう片方にも同じようにして堆肥を入れた。これを、田にもって行きビクの紐を解くと落ちるようになっていたが、この時もつっかえ棒を立てて、作業をした。その後は荷車やリヤカーで運ぶようになった。
堆肥運び