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田植えの食事

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 田植えは稲作の作業の中でも、最も晴れがましい作業であるとともに、多くの人たちを呼んでの共同作業であるため、食事においても豪華なものとなり、家人の人たち特に女性たちは大変な苦労であり、また腕前を発揮する場でもあった。高根沢町では、前述したように一般的にヒリョウドリと呼ばれる手間取りの人を呼んで田植えが行われたため、比較されないように田植えの食事には、気を配ったものである。
 田植え当日は、五時ごろには皆が集まり、朝メシを振舞う。お新香・味噌汁の付いたものであったが、米は白米を炊いたものである。食事は三〇分程度で済ませ、苗取り・田植えの準備に入る。一〇時の休みのコジハンには、赤飯か混ぜご飯に煮しめやオヒタシ・キンピラが出され、土手で食べ三〇分ほどの休憩となる。お昼になると昼メシとなり、白米のご飯にお新香・吸い物・塩引き・ニシンの煮付け・煮物などが出されて、一時間ほどの休みをとった。三時のコジハンには、昭和三〇年頃にはパンが出され、お茶を飲んだ。そして、五時半頃には田んぼからあがり、夕ハンとなる。白米のご飯に刺身か煮魚が付き、天ぷら・煮物に酒を出して振舞ったものである。このように、振る舞いだけでも大変なものであった。

図30 コジハン